農作物のWebプラットフォームでの売買の観察

某プラットフォームでの農作物の売買が行われている。売主の言葉が自己紹介欄に書かれるが、悲壮感や憤りに近いものが並べられている。

 

実際の売主の手取りは本当に微々たるものであることも多い。

個別に発送するので送料が大きく掛かる、それが大きい。そしてその送料を含めた売り上げの10%がプラットフォーム代となり、専用の箱や中の梱包資材代も要る。

そうすると、利益10円20円位で実際の果物や野菜を送っている人達もいることになる。利益等とすら呼べない、作物が10円とか20円となるからだ。作物を作るには農業資材が必要で、その種や苗も必要だ。そして何より労働力、こんなに掛かったら10円や20円で、できる訳がない。

 

それでも、他の人達も安く提供しているから、それ以下にせざるを得なくて行っているのだろう。プラットフォーマーは農作物売買のプラットフォーム代は無料で提供すると、日本の農業支援にもなるからそれを行うと企業の価値もあがりそうだから、やると良いだろう。以前テレビのニュース番組で、農協に売るより、手取りが増えるからありがたい等と言わされている夫婦がいたが、実際にはとんでもない安い価格で売らざるを得ず、手間ばかり掛かりさらに客からのクレームにも対処しなければならない。利益が10円20円なのを分かっていて、低評価をつけている輩もいる。あまりにも、知性がなさすぎだ。

 

「ほんの数g足りないだけで低評価はやめてほしい」「農作物の中身は個別に異なるから味の違いはある、それが分からないならチョコ食べててくれ」「少しの傷も許さないなら、高級品店で買ってくれ」「忙しいからメッセージできない」「○○の人は絶対に購入しないで下さい」 等など、もっともなことも多い。低価格で買っておいて、高級品店並みの品質やサービスを求めている購入者側に問題があるような気がしてならない。

 

日本の農業者は利益度外視で営んでいる所も多いだろう。多くの国では、農業分野に潤沢な補助金を与えているというが、日本は違う。食べ物は、皆が必要なものであるから、高くてすべての人が買えないものであったら困るので価格が低く設定されている。それが前提なのだから、適切な施策を講じるべきだ、が実際にはそうなっていない。

 

複数の流通経路を模索しての出品だと思うが、それでこれだけの利益ではやってられないと思うのが実情だろう。そこに、購入者の無理解。農業に関わる環境は厳しさを増していて、それを理解している人達も多くはなっている。今後、どんな状況であるのか分かる人でなければ、売主は作物を売ってくれなくなるかもしれない。農業の実態を理解をしましょう、農業者のことを想いましょう、というのは、農業者の為ではなく、買う側の為であることも覚えておきたいものだ。