大切な人

「自分を大切に」「自分を大切に」と何人の人達に何度言われただろう。自分を大切にするのはエゴイストだ、とか自分のことを大事にするのを悪い事だ、と思う自分には無理な話だ、自分を犠牲にするのだから、良いのだろうと思っていた。幼少の頃から、あなたは羨ましい、いいないいなと周りから言われてきたゆえだろう。皆に良くして貰える自分は、周りからみるとずるい人間なのだろう。ずるい人間でいたくないと思っていた。自分を犠牲にすることが、周りにとって良いことだと思っていた。自分が自分を蔑ろにするのだから、幸せな気持ちになったことはない。それでも良いと思っていた。

 

通常の人は、自分を大切にしない自分を、見限る。良くしてあげても良くしてあげても、それを拒否する。そんなものはいらない、何かやって貰うと周りに羨ましがられるから、やって欲しくない。もっともっと働かせて欲しい、自分が犠牲になる道を突き進もうとするからだ。

 

だが、本当に本当に自分を大切に思ってくれる人は、私を責めたり見限る代わりに、自分が犠牲になってしまう。私はとんでもないことをした。自分を大切にすることは、相手を大切にすることでもあるのだ。自分を大切にしてくれる人は、自分に幸せになって欲しい、苦労させたくない、自分が嫌だと思うことはさせたくない、と真に思ってくれるのだ。それが故、なにも言わず犠牲になってしまう。それが積もり積もってしまっていた。

 

どうして、こんなにも大切にされていたのに、大切にしてくれていたのに、それを受け入れなかったのだろう。なぜだろう。もの凄く辛い。自分が犠牲になったことで辛い思いをしたことなんてない。

 

こんなに辛い思いをさせていた、それが辛い、本当に辛い。物凄く辛い。